2020年1月25日 土曜日
民法(離婚との関係)改正(2)法定利率
民法(債権関係)改正(2)法定利率について
法定利率は、不法行為に基づく損害賠償請求に適用があるため、離婚においても、密接に関連する。より具体的には、慰謝料(心理的損害に対する賠償)の請求手続きや見込み、手続きの長期化が予想される場合に考慮すべき要素となる。
【現行法上の問題点】
・低金利の情勢により、法定利率(年5%)が市中金利を大きく上回る状態が継続
・法定利率を固定すると、将来、市中金利と大きく乖離する事態が再び生ずるおそれ
・市中金利の短期的・微細な変動に連動して頻繁に法定利率が変わると、対応するための社会的コストが大きい
・商行為によって生じた債務を特別扱いする合理的理由に乏しい
【主な改正の内容】
・法定利率を年3%(施行時)に引下げ(新404条2項)
・緩やかな変動性の導入(新404条3項~5項)
変動性の内容は…
・3年ごとに利率を見直す
・見直しにあたっては、貸出約定平均金利の過去5年間の平均値を指標とし、この数値に直近変動期の指標と比較して1%以上の変動があった場合にのみ、1%単位の数値で法定利率が変動
・年6%の商事法定利率(商法514条)の廃止
・中間利息控除(※)にも法定利率(変動性)が適用されることを明文化(新417条の2第1項、722条1項)
損害賠償請求権が生じた時点(例えば、事故の時点)の法定利率が適用される
(※)中間利息控除とは…
被害者は、不法行為等による損害賠償によって、将来の逸失利益を含めて請求が可能となるが、被害者が一時金として取得すれば、これを元本として運用した利息分を被害者が利得することになる。
そこで、不法行為等による損害賠償において被害者の逸失利益を算定するに当たり、将来得たであろう収入から運用益をあらかじめ控除する(中間利息の控除)。
従来、中間利息の控除をする場合の利息の算定は、現404条の法定利率(年5%)によるとされていた(最判平成17年6月14日)。