2020年12月12日 土曜日
弊所の年末年始営業のお知らせです。
弊所の年末年始営業のお知らせです。
本年は12月28日(月曜日)まで、来年は1月5日(火曜日)より営業いたします。
なお、休業中もメールでのご相談は随時受け付けております。
代表弁護士 竹村公利
2020年12月12日 土曜日
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本年は12月28日(月曜日)まで、来年は1月5日(火曜日)より営業いたします。
なお、休業中もメールでのご相談は随時受け付けております。
代表弁護士 竹村公利
2020年12月11日 金曜日
これまで19年ほど弁護士してきた経験と、米国で離婚分析学を学んだ知識や、夫婦カウンセラーの観点などから、あなたが離婚を意識したら注意したほうがいいことをいくつか分けて書いていきます。
あくまで私の経験に基づく個人的な意見になります。
今回は、友人や家族などへの相談については、慎重にされたほうがよいという点です。
通常、離婚を意識するような状態というのは、多かれ少なかれ、夫婦関係に亀裂が入り、ストレスを強く感じている場面になります。
婚姻関係は、親族的な関係のほか、経済的な同一体でもあるため、将来への不安と関係者や家族・友人への影響など思いのほか心理的負担が大きいものです。
そうなると、ストレスケアという話になり、様々な方法があります。
そのうち、友人や家族に相談をしてストレスを解消する、あるいは不安を軽減するというのは最も簡易で効果のあるストレスケアです。
離婚を意識した初期段階では、周囲に相談する、話をする、というのはとても自然な流れです。
話をすることにより、ストレスが緩和されるだけでなく、結果的に円満解決に至ることも大いにあるでしょう。
注意しないといけないのは、
・ 話し相手の立場と
・ 助言の評価
の2点です。
まず、
・ 話し相手の立場
離婚を意識する段階での話し相手は、身近な兄弟や家族で、気のおけない方ということになります。
そういった方は、当然ながら、相手(妻や夫)とも仲が良かったり、友人を介してつながっていることが多々あります。
あとから、私が離婚相談を受けた場合に、こうした初期段階での話が、相手にだだ漏れになっている、ということがまま見受けられます。
そうなると、私のような離婚弁護士に相談に来る前に、
相手に離婚を意識した様々な対応をされてしまうことになったり、せっかく円満に戻れる可能性があったのに、本音が伝わりすぎて、夫婦関係が破綻してしまった、というケースがあります。
このあたりはまた次回以降の記事にします。
話すこと自体が悪いわけではありませんし、不安を解消するためにも、周囲のコメントを求めることはいいことです。
次に、
・ 助言の評価
友人や、兄弟姉妹は、夫婦関係の悩みを相談すれば、あなた側(味方の立場)からの助言やコメントをすることになるでしょう。
あなたが離婚を意識しはじめるような初期段階では、第三者である周囲はまだ事態の詳細も深刻さもわからないこともあり、できるだけ、夫婦関係を壊さないように、あるいはあなたのストレスが軽減されるような発言をします。
こうしたコメントが悪いわけでもないし、おそらく常に的外れというわけではありません。
ただ、普通は専門家ではないので、うのみにしたり、周囲の助言だけを頼りに行動していくのややリスクがあります。
なかなか難しいとは思いますが、理想をいえば、周囲の方の助言+早い段階で弁護士の意見を求めて行動する、のがよいように思います。
円満に戻りたい場合でも、離婚をされたい場合でも、
相手のあることです。
相手は感情面だけでなく、経済的理由や法的な観点から行動します。
したがって、相手の状況を専門的に見通せる状況から話をしないと、夫婦関係の問題はうまく解決していくことが困難なのです。
以上が、19年ほど離婚の相談を受けてきて、注意したほうがよいと常々思うところです。
離婚(円満に戻るでもいい)を意識した段階で、人に話してストレスケアをすることはよいことなので、上記を意識したら、大いに発散して、冷静な精神状態を維持しましょう。
コロナ禍の閉そく感でストレスも大きい状態だと思いますので、感染症対策を十分に気を付けて、ストレスケアをしましょう。
2020年8月25日 火曜日
法律事務所や弁護士名をかたる
架空の請求の詐欺被害が
昔からあります。
コロナによる様々な現金乱舞の状況と、
SNSの普及で、最近も多くなっているようです。
特にインターネットが普及している現在では、
手を変え品を変え、
弁護士名を騙り(噓をついて)
架空の請求をしてきます。
弁護士(法律事務所)が何らかの請求をする場合は、
連絡先を必ず明記しています。
これまでやりとりがないのに、
メールやSNSのメッセージや、携帯電話のショートメッセージだけで
請求してきたら要注意です。
また、
これまで、弁護士作成の書面には、
弁護士が印鑑を押すことがほとんどでしたが、
今後のハンコレス化により、
印鑑があるかないかでは、
本当に弁護士からなのか判別が難しくなりつつあります。
いわゆる内容証明郵便も、
ネット経由で発送できますので、
内容証明郵便だからといって油断はできません。
※架空請求が内容証明郵便で
行われることはコスト的に多くはないとは思いますが・・・
しかし、個別的な事情があれば内容証明郵便を使うかもしれません。
さらに、
(ハンコレスを批判する趣旨ではありませんが)
ハンコレスになると、
自分が支払う必要があるかどうかすらも忘れてしまう場合もありえそうです。
たいていの架空請求は、
支払うべきかどうかの判断が迷うラインと金額を狙って、
請求してきます。
最近では、コロナ給付金の支給が進んでいない状況もあり、
給付金の支払決定やサポートをうたった
詐欺メールも非常に多くなっています。
弁護士が個別に依頼を受けている
代理人でもないのに、
給付金の支給決定の連絡をすることはありません。
給付金請求の代理をすることはあっても、
弁護士費用のやりとりは、
かならず、
委任状(委任契約書)を取り交わした後になります。
何も書面を交わさず、「振り込んどいて」はありえません。
もし、
届いた請求がこれまでの契約や取引による
「具体的で明確な理由」があると思われて、
仮に、
お支払いになる場合であっても、
必ず、
支払う前に、
発送してきた(と思われる)法律事務所・弁護士に
よくよく、
確認をして、
さらに、
詐欺でないか、
ネットなどで詐欺情報の
確認をしましょう。
2020年8月20日 木曜日
特に養育費の支払い・回収に重要です!!
【債務者(支払う側)のもっている財産・資産の開示制度】の概要 やや実務家向け
(本年4月の民法改正部分)
1 債務者以外の第三者からの情報取得手続が新しく作られました。
①金融機関から口座などに関する情報を取得
②登記所から土地・建物に関する情報を取得
③市町村、日本年金機構等から給料(勤務先)に関する情報を取得
※①③については、令和2年4月1日の施行により運用が開始されていますが、
②登記所からの土地・建物に関する情報取得手続については、まだ運用されていない。
※※給与債権に関する情報取得手続(勤務先情報)は、
★「養育費」等の債権や生命・身体の侵害による損害賠償請求権を有する債権者のみ、申立て可能。
この点は、実務上、とても重要な点になります。
★なお、債権回収の際、
債務者の勤務先に「いきなり」自分の主張だけを書いた手紙を送ったり、
押しかけたりするのは、
特殊な事情がない限り、やりません。
2 従来の財産開示手続の見直し
債務者の不出頭や虚偽陳述に対する罰則は30万円以下の過料のみでしたが、
→不出頭等には6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑事罰)になりました。
※ただ、これらの制裁も、実際に行われるかは、未確認。。。
ここも今後、重要な点です。
3 具体的な【財産開示手続】
(1)手続の流れ
申し立て後、実施決定が確定したら、1か月ほど後の日(※ただし、コロナウイルスの影響により、現在の時期は未定となっています。)
が財産開示期日として指定されます。
また、財産開示期日の約10日前の日が債務者の財産目録提出期限と指定されます。
当日は、債務者本人が出頭した場合には、自己の財産に関する陳述をする。
申立人と弁護士は、財産開示期日に、開示義務者に対し質問することができます。
(2)不出頭等に対する制裁
従来の制度では、債務者の不出頭や虚偽陳述に対する罰則は30万円以下の過料(行政罰)でしたが、
今年4月1日より、不出頭等には6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑事罰!)が定められました。
もっとも、不出頭等に対して実務上どのような取扱いがなされているかについて、
現時点で刑事罰が科されている事例は未確認です。
最後に、【債務者への呼び出し・住所関係について】
民事執行センターによれば、
判決が公示送達になったような場合でも、
財産開示手続の申立ては可能。
また、訴訟において被告の最後の住所地が認定され、
判決文に当該住所地が記載されている場合には、
その住所地が財産開示の管轄になるとのことです。
以 上
2020年7月20日 月曜日
ロンドンレポート vol.3 (19/07/2020)
英国では、R値が行動制限緩和の判断基準として示されています。
R値は、ウィルス感染者1人が次に何人に感染させるかを示す実効再生産数を意味しており、英国のR値は、6月以降、0.7~0.9で推移しています。
ちなみに、実数では、24時間での新規感染者数は400人前後~1300人前後、24時間での死者数は10数人~150人前後で推移しており、依然として厳しい状況だと言わざるを得ませんが、R値が1未満に抑えられているため、流行の拡大は抑えられている状況です。
このような状況を踏まえ、7月4日、イングランドにおける行動制限が大幅に緩和されました。
(英国内でもスコットランド、ウェールズ及び北アイルランドについては、各自治政府が独自に判断しています。)
それまでは、感染リスクを低下させるために、他者との距離を2メートルとるようにとされていたソーシャルディスタンスが、1メートル・プラス(1メートルの距離とともに、マスクや手洗いなどの予防措置をとること)に変更されました。
同居している家族以外とも、屋内・屋外を問わず会うことができるようになりました。
レストラン・パブ、美容院、ホテルやB&B、屋外のジム、映画館、博物館、ギャラリー、テーマパーク、図書館、礼拝施設の再開が許可されました。一方で、ナイトクラブや屋内競技場、屋内ジム、プール、スパ、ボーリング場等の近接した対人距離を伴う場所、更衣室や室内コートといった屋内施設は閉鎖が継続されることとなりました。
仕事は、テレワークの継続が望ましいとされました。
また、英国政府は、6月8日以降、すべての英国への入国者に対して14日間の自己隔離を義務付けてきましたが、7月10日から、約60か国の国・地域からの渡航が解禁され、14日間の自主隔離が不要になりました。
対象国は主にヨーロッパの国・地域ですが、オーストラリア、香港、日本、韓国、台湾なども含まれています。
ほぼ同じ時期に、ヨーロッパ各国でも渡航制限が大幅に緩和され、感染拡大が続いている一部の国・地域を除き、ヨーロッパ内の移動は比較的自由に行うことが可能となりました。
7月17日、英国政府は外出制限のさらなる緩和を発表し、8月1日からは、感染対策をとった上での職場出勤を認めることとなりました。
同日から、閉鎖が継続されていたボーリング場、カジノ、スパ等の営業再開が許可されることとなりました。
また、無観客で行われてきたサッカー・プレミアリーグなども、10月から競技場での観戦が可能になる見通しです。
このように、イングランドにおける行動規制は段階的に緩和され、日常に戻ろうとしています。
もっとも、営業再開が許可されたとはいっても、実際に営業を再開できているレストランや小売店(小売店は、6月15日から営業再開が許可されました。)はまだ半数程度の印象です。
映画館や博物館もほとんど閉鎖されたままですし、恒久的に閉店してしまったお店も少なくありません。
また、感染拡大の一途を辿っていた4月、5月頃は、マスクを装着している人を多々見かけましたが、すっかり減ってしまい、今は1割いくかいかないかというレベルです。
7月24日から、公共交通機関及び各ショップ店内でのフェイスカバー(マスク等)の装着が義務化されますが(フランスでもマスク装着が義務化されるようです。)、もともとマスクを装着する習慣がないので、どこまで普及するかは未知数です。
その上、英国内の一部地域ではR値が1を超えたため、ローカルロックダウンの措置が取られました。
ロンドンの街が以前の姿を少しずつ取り戻していくのは非常に心浮き立つものですが、まだ油断できる状況ではなく、個々人の判断で、注意深く行動する必要があると感じています。
2020年7月1日 水曜日
結婚は経済的に同一体となることを意味します。
専業主婦なら夫の収入が生活の基礎となり、事業を夫婦で共同経営する場合には、まさしく経済同一体となります。
連帯債務に関する民法の改正は、共同事業ともいうべき夫婦の財布にも大きな影響がありました。
問題の所在(改正前)
・改正前民法において、連帯債務者の一人に対する履行の請求は他の連帯債務者に対してもその効力を生ずると規定されていたが(改正前434条)、連帯債務者の一人に対する履行の請求があったとしても、
他の連帯債務者は当然にはそのことを知らず、他の連帯債務者が不足の損害を受けるおそれがあった。
・改正前民法において、連帯債務者の一人についての免除は、その連帯債務者の負担部分について他の連帯債務者にも効力が生ずると規定されていたが(改正前437条)、
免除をした結果、他の連帯債務者に対しての請求金額が減少することは、免除をした債権者の意思に反するおそれがあった。
・改正前民法において、連帯債務者の一人に対する消滅時効の完成は、その連帯債務者の負担部分について他の連帯債務者にも効力が生ずる規定されていたが(改正前439条)、
ある特定の連帯債務者から履行を受けるつもりであっても、すべての連帯債務者との間で消滅時効の完成を阻止する措置をとらなければならず、債権者の負担が大きかった。
以上の点について、改正法は、
連帯債務の絶対的効力を削減する(新441条)。
連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。
連帯債務者の一人についての免除、消滅時効の完成は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。
ものとしました。
離婚などの場合にどのような影響があるかは、個別的な判断になります。
2020年6月18日 木曜日
離婚調停とよく言われる、夫婦関係調整調停の日は、
おおむね午前と午後に行われます。
場所は各地の家庭裁判所です。
裁判官と調停委員の方は、何件も調停を担当していますが、
何室にも分かれて同時進行していきます。
なので、ご夫婦からすると、1回の期日にかかる時間はそれこそ数時間にもなることがあります。
早く終わるときもありますけれども、前後の打ち合わせや資料のの確認などを入れると、ほぼ1日つぶれるくらいの余裕をもっていたほうがいいと思います。
特に・・いまはコロナでいろいろ時間をくったり、ストレスがたまりますので、、、
心の余裕をもって向かいましょう。
2020年6月13日 土曜日
今回は、債権者の債権を保全するための制度についての改正がなされました。離婚においても、債権を有することになることは多々ありますし、夫婦関係によっては事業の債権の管理をすることもあります。
①債権者代位権
【問題の所在】
債権者代位は、債権者が他人である債務者の財産管理に介入する制度であるにもかかわらず、改正前の規定は具体的なルールを定めていなかった。
【主な改正の内容】
債権者代位についての具体的なルールを創設
・被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものである場合には、債権者は自己への支払又は引渡しを求めることができる(新423条の3)
・債権者の権利行使後も被代位権利についての債務者の処分は妨げられない(新423条の5)
・債権者が訴えをもって代位行使をするときは、債務者に訴訟告知をしなければならない(新423条の6)
②詐害行為取消権
【問題の所在】
詐害行為取消権は、債権者が他人である債務者のした行為の取消し等を裁判上請求するという強力な制度であり、複雑な利害調整を要するにもかかわらず、改正前の規定は具体的なルールを定めていなかった。
【主な改正の内容】
詐害行為取消権についての具体的なルールを創設
・債権者は、債務者がした行為の取消しとともに逸出財産の返還(返還が困難であるときは価格の償還)を請求することができる(新424条の6)
・詐害行為取消しの訴えにおいては、受益者又は転得者を被告とし、債務者に訴訟告知をしなければならない(新424条の7)
・詐害行為取消権の要件(詐害行為性、詐害意思等)についても、類似する制度(破産法の否認権等)との整合性をとりつつ、具体的に明確化する(新424条の2~424条の4)
以上
2020年5月14日 木曜日
(※新型コロナ感染症に関わるご相談はメールまたはお電話にて、お問い合わせください。)
離婚の際に問題になることはあまりありませんが、売主の瑕疵担保責任について改正がされています。
【問題の所在】
・対象の商品が特定物か不特定物かを問わず、引き渡された商品に欠陥があった場合に買主がどのような救済を受けることができるのかについて、わかりやすいルールを明記すべきである。
・現行法上の「隠れた瑕疵」との文言は不明瞭であり、内容に応じてわかりやすく規定すべきである。
・現行法上、物の引渡により履行済みと考えている売主保護のため、瑕疵担保責任の追及は、買主が瑕疵を知ってから1年以内の権利行使が必要とされているが、権利行使まで求めている点で買主の負担が重すぎる。
【主な改正の内容】
・「隠れた瑕疵」との要件を、目的物の種類、品質等に関して「契約の内容に適合しない」ものに改める(新562条)。
・買主は、売主に対して、①修補や代替物引渡しなど履行の追完の請求、②損害賠償請求、③契約の解除、④代金減額請求ができることを明記した(新562~564条)。
・買主は、契約に適合しないことを知ってから1年以内にその旨の通知が必要とすることを規定した(新566条)。
→改正法では、売主の瑕疵担保責任を契約責任(債務不履行責任)と解し、損害賠償の範囲については、履行利益まで含まれることとなる。また、瑕疵担保責任の対象は特定物に限られず、不特定物についても瑕疵担保責任を認める。
以上
2020年4月11日 土曜日
※新型コロナウィルス感染症の状況は極めて深刻ですが、たんたんとブログを書きます。
************
離婚は経済共同体の解消を意味するため、夫婦共同経営の場合など、債務不履行や解除も、場合によっては問題となります。
①債務不履行による損害賠償請求の帰責事由
【問題の所在】
・現行法では、債務不履行による損害賠償について、債務者の帰責事由が要件となることを履行不能(現415条後段)の場合にのみ規定しているが、履行不能以外の債務不履行にも共通のルールとして解されているため、条文と解釈に齟齬が生じている。
・帰責事由について、条文上明確ではない。
【改正の内容】
債務不履行一般について、債務者の帰責事由が要件となること、帰責事由は、契約及び社会通念に照らして判断される旨を規定する(新415条1項ただし書)。
②契約解除の帰責事由
【問題の所在】
現行法では、履行不能による解除の場合、債務者に帰責事由がない場合には、解除が認められない(現543条)。また、同条に基づく解除だけでなく、債務不履行解除一般について帰責事由が必要であると解されている。しかし、債務者に帰責事由がない場合であっても、解除が認められないとすると、当事者にとって不当な事例が生じる。
【改正の内容】
・債務不履行による解除一般について、債務者の帰責事由がない場合であっても解除を可能なものとする(新541条、542条)。
・不履行が債権者の帰責事由によるものである場合には、債権者は解除できないとする(新543条)。
③その他の契約解除の要件
【問題の所在】
・現行法の文言(現541条)によれば、あらゆる債務不履行について催告解除が認められるように読めるが、判例では、付随的な債務の不履行や不履行の程度が大きくない場合には、催告しても解除は認められないとしている。
・現行法上、定期行為の履行遅滞(現542条)、履行不能(現543条)の場合に、無催告解除が認められているが、この他に、実務上、履行拒絶の意思が明確な場合、契約の目的を達成するのに十分な履行が見込めない場合にも無催告解除が認められている。
【改正の内容】
・催告解除に関して、契約及び社会通念に照らして不履行が軽微であるときは解除することができないことを明文化する(新541条ただし書)。
・無催告解除に関して、履行拒絶の意思の明示、契約をした目的を達成するのに足りる履行の見込みがないこと等の事情があれば解除が可能であることを明文化する(新542条)。